ライカビットＭＰ

Leicavit MP LHSA Special Edition

（解説）
　MP3は世界限定1,000セット（黒・白500）で、日本にはそれぞれ150セットが正規輸入された。もちろん、正規代理店以外にも、ショップ独自の海外ルートで事前にキープしたセットが入荷し、実際にはかなりの数が日本に入荷したと思われる。結局、世界限定と言っても、大半は日本に流れる状況はバブル時代から変わらない。
　さて、限定物のMP3は、1つの化粧箱に本体、ビット、レンズ、フードが4分割され梱包されているが、実は、このセット販売で出荷されたのは各375セットであり、残りの各125セットは、本体、ビット、レンズの3パターンに分けて専用包装で単品販売されている。しかし、日本への正規輸入は行われず、数も少ないことから併用輸入品も販売初期には入荷が少なく、ほとんど姿を見ることがない珍品中の珍品である。特に、本体やレンズの単品は後に販売されているのを見受ける（場合によっては、セット物をバラ売りしているケースもあり）が、ライカビットの単品はネットオークションで見た程度であり、このMP3用の特別仕様（オリジナルと同じ筆記体＋MP刻印）が施された単品商品は、MP6やMPクラシック、M3J等のビットが似合う記念モデルオーナーには欲しい一品だろう。もちろん、MP3オーナーでも、このライカビットを予備または増備計画用にもう１個キープしておくのは当然かもしれない。記念モデルは何もライカビットとセットで登場するとは限らないので、後々のことも考えると先手必勝と言える。
　さて、その幻のMP3用ライカビット単品販売のブラックペイント仕様（世界で125個）がここに紹介するそれである。ご覧のように専用の赤い化粧箱に入れられ、ライカ社の製造証明サインもある。何と言ってもオリジナルと同じ刻印が前面に施され、背面の刻印等も通常品とは違うのに、購入価格は通常モデルの並行品より15,000円ほど高い価格で、正規品より安い価格で仕留めることができた。ライカブームの数年前だったら、このようなセットも単品も予約なくして購入は無理だっただろう・・・トップカバーだけのMP6が即日完売したのに、これほどまでも拘ったＭＰ３が発売後もまだまだ少数ながら在庫が残っているのは時代の変化を感じる。この限定物は昨今の見かけ商品と違い、明らかにコストがかかっているのに！
　このビット単品には、もちろんシルバーもあり、M3やM2シルバーのオーナーで、関東カメラサービスにてワインダー用のカップリング改造をされた方なら、オリジナルのビットを買うより安上がりである。さらには、ノーマルのM6やMPなんかに装着してもイメージが一新するので、装着するカメラが限定されるブラックペイント仕様よりシルバー仕様の方が購入対象者は多いのかもしれない。ちなみに、このブラックペイント仕様のビットを購入する際、シルバーのビットも同じ値段で限定販売されており、一緒に買おうかと思ったが、正気になって購入を止めた。（後々後悔しそうだが・・・）
　さて、このままライカ社の限定版を含めてMP刻印のあるビットが登場しなかったら、案外、数年後はMP3本体より高値になるのではないかと思われる。何度も言うが、このビットはM4-2以降の機種ならどれでも装着可能、あなたの現代ライカをネオクラシックにしてくれる魔法の限定アイテムです。

（備考）
　手作りに近いライカではよくあることだが、製品に微妙な個体差があり、このビットもしかりである。先にセットで組まれていたライカビットは実にスムーズで、ボディとのマッチングも最高であったが、このビットは巻上げが重く、レバーで巻き上げた後に、ビットのトリガーで巻き上げると、最初の一枚目は連動カプラーがかみ合わず滑る傾向にある。一度噛めば後は滑らないが、レバーで巻き上げるとカプラーの付近からワインダーで見られる「カラカラ音」がする。この音は、本体側で巻き上げる時、連動カプラーの回転に際し、ワインダーやビット側の連動ピンが滑るように設計されているので、爪がカプラーの溝を通過する際に発する音だ。ワインダーなどは音と共に違和感があるが、このビットも違和感こそないが音がする。ちなみにセット物のビットはよほど相性がよいのが、この異音さえ聞こえない。（爪の形状や、トリガーベルトの長さなど微妙な個体差だと考えられるが、ライカは機能だけでなく感触まで拘るのが通である）
　しかし、このビットは外装の刻印に価値があるので、少々の個体差は我慢すべきか？

(追記）2006.9/10
　MP3セット及びここで紹介した単品のビットはよく利用する銀座レモン社の通販で買ったが、上京する機会があったのでレモン社に直接立ち寄った。すると最後の入荷で最後の1台という単品のビットが展示してあり、店長に「以前買ったビットの調子が悪いから、この展示品を実際にM型に取り付けてチェックさせてくれないか？」とお願いしてお店のM7に装着してみた。結果は抜群で、MP3とセットされていた物と同等もしくはそれ以上の感触だったので、迷わず3つ目を買った。これは通販ではできないので、感触の良い「限定物の当たり品」は即買いでしょう。もうこれで二度と入荷の見込みは無いとのことなので、よき買い物となりました。
　当然ながら、帰宅してMP3に装着してみたが、このビットは抜群でした！しかし、ライカ社も限定物に製造証明サインするのはいいが、「機能面の検査もしっかりやれ！」と言いたい。なお、こうなると２台目のビットを修理して実用にガンガン使うことになるが、保障での修理は限定物の関係で本国送り（3ヶ月コース）になる可能性が高いとのこと。ここは自分で分解調整するしかなさそうですね・・・

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